「何故だ!」
そんな疑問をあらゆるものに対して向けていくことは、なかなかエネルギーの要るものです。
特に理由を考えずに「そういうもの」として通り過ぎていることがどれだけあるでしょう。
音楽もそうです。気が付けば誰もが「そういうもの」と思うようになった、不文律がたくさんあります。
先人たちの経験によって積み上げられた、たくさんの「いい音楽を作るためのレシピ」は、いつでも私たちを助けてくれます。
私だって、そこから多くを得ています。
でも、ふと思いました。世の中に形骸化したルールというものがあるように、
今となってはどうだっていいことに無意識にこだわっているのではないかと。
ただ漫然と「そういうもの」に従っておきながら、自由に創作をしている気になっている自分というものが、
何だか滑稽に思えてきました。
こんなことでは先人たちはおろか、今の自分を超えていくことだってできないんじゃないか。
そんな危機感に駆り立てられるように、音楽と対峙してきました。
このCDは、音楽の、世の中の「アタリマエ」に対する、私のささやかな叛逆です。
音楽の「アタリマエ」にどれだけ立ち向かえるか、そしてその先にどんな「面白さ」を示すことができるか。
新たな挑戦の、始まりです。