前作「PIANISTIQ」による、ピアノの魅力の”再発見”が、自分にとってどれほど刺激的であったか、聴いてくださった方にはきっと伝わったのではないかと思っています。
一方で、私に重い宿題を与えてくれた作品でもあります。新たに追求した可能性をそこで終わらせることなく、自分の手で育てること。楽曲として呈示すること。「ピアノ探しの旅」は始まったばかりでした。
前作で私が試みたことは主に「制限」でした。与えられた条件下で楽曲を作ること。そしてその「縛り」を楽曲の魅力に繋げること。やってみて分かりました。もっとこの楽器はいろいろなことができる。縛り、制限からもっと解放できるんじゃないかと。
自分の中のピアノの世界観が広がった瞬間でした。
私とピアノの関係は複雑です。言うことを聞いてくれたことなんか一度もなく、かといってまったく取り付く島がないというわけでもない。試験やコンクール、演奏会で失敗も繰り返したし、その逆だってありました。
嫌になってやめようと思ったことはただの一度もありません。でも、あと少しだけ自分のものにしたいと常に思っています。今だって…
そんなピアノに対しての一言では言い尽くせない気持ちが、私の”ピアニズム”です。